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最高裁判所第三小法廷 昭和49年(オ)684号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人後藤昌次郎の上告理由第一点について。

原判決中の所論指摘の判示が上告人の争う本件闘争資金積立金の法律上の性質について述べたものでないことは、その判文上明らかである。論旨は、原判決を正解しないものであつて、採用することができない。

同第二点について。

原審の確定した事実関係及び原判示の闘争資金積立規程に徴すれば、本件闘争資金積立金は、上告組合の組合員が、組合員たる資格を保有する間、右積立規程に掲げる目的を達成するために所定の方法により運用することを同組合に委託した組合員個人の積立預託金としての性質を有するものであつて、組合員がその資格を喪失した場合には、死亡又は退職のごとき事由によるときにかぎらず、争議中に自らの意思により組合から脱退したときであつても、当該組合員に対してその払戻しを拒むことができないものであるとした原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、独自の見解を前提として原判決の違法をいうにすぎないものであり、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高辻正己 裁判官 関根小郷 裁判官 天野武一 裁判官 坂本吉勝 裁判官 江里口清雄)

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